■カテーテル検査+大動脈バルーン形成術と結果/左心低形成症候群について その9
■カテーテル検査
カテーテル検査の本来の目的は血管の中にカテーテル(管)を通して、血管や心臓の内部から、各部の内径や血圧等を計測すること。また、カテーテル検査にて処置が必要となった場合、カテーテルにて手術を行うことも可能のようだ。ノーウッド・グレン手術後の循環(で大動脈縮窄が湖白の血液循環の妨げになっている可能性を説明した。
■バルーン術(左図@)
この大動脈縮窄部分にカテーテルでバルーンと呼ばれる風船のようなものを持って行き、その箇所で膨らませる(左図@)。約10秒ほど膨らませたあとバルーンを縮めるとその部分の血管を広げられる可能性がある。血管は3層でできており、バルーンで無理矢理広げられるので内側の層の組織は破壊されるそうだ。また、バルーンで押し広げられた箇所は必ず広がるものではなく、時期を変え数回繰り返される場合もあるようだ。
■バルーン術の結果
湖白の場合、カテーテル検査での計測として大動脈と縮窄部分の血圧の差が10あったそうだが、バルーン術後は3〜5と血圧の差は小さくなった。縮窄部分も5mmから8mmとなり広げることに成功した。バルーン術によって縮窄部分の抵抗が小さくなり縮窄のあった部分の血流の改善(左図A)が期待できる。縮窄部分の抵抗が小さくなったことで右心室の負担も軽減(左図B)され、右心室のポンプで押し出した先の抵抗が少なくなるので、三尖弁の逆流も軽減(左図C)することが期待される。三尖弁の逆流が軽減されるとノーウッド・グレン手術後の循環(で触れたとおり、結果的に上大静脈から肺動脈へも血圧差でうまく流れるようになる。結果としてバルーン術前と直後で見ると、湖白の血液循環は予定通り改善されたといってよい。グレン手術後、腕と足の血圧の差が10(腕>足)あったが、術後の血圧差は5(腕>足)となり臓器を含めた下半身への血圧が高くなった。あとは時間をおいてバルーン術で押し広げた部分が再び縮んでくるケースもあるようなので縮んでこないことを祈る。
■バルーン術前と直後のカテーテル検査の計測データ比較
・大動脈と縮窄部分の血圧の差:縮窄部分の血圧が10低い → 縮窄部分の血圧が5低い
・大動脈縮窄部分の直径:5mm → 8mm
・三尖弁の逆流レベル:1〜1.5の(予想されていたよりも)軽度のもの<MAXはレベル4> → データなし
・肺動静脈瘻(左図D)が新たに発見される
■肺動静脈瘻(左図D)
カテーテルで新たに分かったことが肺動脈と肺静脈を直結してしまう肺動静脈瘻(はいどうじょうみゃくろう)が存在したこと。本来肺動脈から肺を経由することで酸素を含んで肺静脈を通って心臓に入るはずだが、肺動静脈瘻が肺動脈と肺静脈のバイパスとなってしまうため、肺を経由せず酸素の少ない血液が肺静脈へ流れ込んでしまう。湖白の場合、それほどたいした量ではないようだ。この肺動静脈瘻に関しては最後のフォンタン手術(後に自然と狭まるケースが多いので現段階では、様子をみていくという方針となった。
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*上記はあくまで湖白の父である私が理解した内容であり、実際と異なる場合もありますのでその場合ご了承ください。
*画像の原画は「A New Way to Reshape the Heart」より抜粋させていただいたものに修正および説明を加えたものです。