■ノーウッド・グレン手術後(湖白のケース)/左心低形成症候群について その8 | |
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■ノーウッド・グレン手術()後の湖白の上半身の血液循環は下記の流れとなった。 @上大静脈→A肺動脈→B肺→C左心房 →D右心房→E三尖弁(逆流あり)→F右心室→G大動脈(縮窄部分あり) 湖白の場合、生まれつきあった大動脈縮窄部分を切除し縫合した箇所が異形となり新たな大動脈縮窄部分(左図G)となっている。また、三尖弁の微量な逆流(左図E)についても、術後より指摘されていた。湖白の状態がどのような状態なのか医師から説明があった。 ■右心室(左図F)から過剰に広い大動脈(左心低形成症候群()特有)へ押し出されて流れ出たところに、大動脈の縮窄部分で急に狭く通りにくくなるため抵抗となり流れにくい状態となっている。(中身の入ったペットボトルを逆さにして中身を出す時のイメージ。) ■そのため、右心室は先が詰まっているので必要以上に働かなければ血液を体に送り出すことができないのでがんばって働くしかない。もともと右心室は肺動脈へ送り出すためだけの力しか持っておらず、左心室の1/5倍の力しか持ち合わせていないという。また、三尖弁(左図E)も肺動脈へ送り出すための右心室に送る弁なので、それほど強い弁ではなく、微量な逆流はよく見受けられるらしい。しかし、肺へ送り出すには右心室のポンプの力は充分なので三尖弁の微量な逆流は右心室の力で補える問題らしい。 ■左心低形成症候群()の場合、余力のない右心室で体へ血液を送り出しているために右心室にはかなりの負担がかかっている様だ。しかも、湖白の場合は、その先に大動脈の縮窄という抵抗があるために血液を送り出せず、三尖弁から逆流して右心房(左図D)へ漏れ出ているのが逆流の原因のひとつのようだ。この縮窄がなくなる(手術後よりも広がる)ことで右心室の負担や三尖弁の逆流の量も経るのではないかと考えられる。 ■上記でもふれたが、通常の循環だと右心室のポンプを使って肺動脈(左図A)と通り肺へおくる。左心低形成症候群()の場合、グレン手術(湖白の場合ノーウッド・グレン手術())後は上半身から戻る上大静脈(左図@)を直接肺動脈へ直結して血圧の差で流し込んでいるためポンプほどの力がない。 ■ここで、先程の三尖弁の逆流部分まで話をもどすが、三尖弁の逆流で右心房に余分な血液が入り込むことで、左心房(左図C)から右心房へ流れ込みにくくなる。同様に肺(左図B)からは左心房へ、肺動脈からは肺へ血液が流れにくくなってしまう。そして最後には上大静脈から肺動脈へ血液が流れにくくなると上半身の循環が悪くなり、肺を通る血液が少なくなるため、血液中の酸素濃度がどんどん低くなっていってしまう。その後のことはあまり触れたくないし考えたくない。そうならないためにカテーテル検査と同時に大動脈縮窄部分をバルーン術で血管の内側から血管を広げ、血液循環の改善を試みることになる。 |
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*上記はあくまで湖白の父である私が理解した内容であり、実際と異なる場合もありますのでその場合ご了承ください。 *画像の原画は「A New Way to Reshape the Heart」より抜粋させていただいたものに修正および説明を加えたものです。 |