■両側肺動脈絞扼(バインディング)手術/左心低形成症候群について その5
■こども病院に移った後も湖白はショック状態を引きずっていました。そのため、予定されていたノーウッド型手術日前日に、まずはショック状態から立ち直らせるために、急遽「両側肺動脈絞扼手術」を行うことになりました。

■湖白の体は、肺呼吸が盛んになればなるにつれ、肺動脈に血液が流れやすくなるため、正常であれば必要のない「動脈管」が塞がろうと収縮を活発化していきます。「ノーウッド型手術」を行い動脈管を切り離す予定でしたが、ショック状態時に全身に血液が廻らなかったことで、体が正常な状態へ戻ってこない症状(肝不全、血管から水分が染み出てしまう症状)が消えなかったことから、まずはそれらの改善を期待した手術(両側肺動脈絞扼手術)を行うことになったのです。

■湖白の体の中では、肺の方へ血液が流れすぎて体への血液が足らず、臓器や血管には不十分な状態が続きました。血管から水分が体内へ浸み出し、そのまま水分が血管へ戻ってこないためにどんどん浮腫が増し、2600gだった湖白の体内に1350ccもの水分が残り、体重は4000gを超えていました。自分の体重の3分の1が余分な水分と考えただけで恐ろしいものです。

■図中@の両即の肺動脈を縛ることで肺への血流量を抑え、「動脈管」へも血液が流れるように操作するための手術でした。この手術のおかげで湖白は危機的状況を脱し、動脈管の太さを維持したままで、体を大きくするために一般病棟に移り、当初予定していた1回目の手術である「ノーウッド型手術」を受ける準備をしています。経過の良いことに人工呼吸器も外れ、鼻からミルクや薬を注入するための管も外れ、埼玉医大では13本あった点滴も残すところ動脈管を広げるための1本(リプル)になり、現在では湖白自身の口で自力で直接お母さんのおっぱいから母乳を飲んでいます。 (2003.11.24現在)
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*上記はあくまで湖白の父である私が理解した内容であり、実際と異なる場合もありますのでその場合ご了承ください。
*画像の原画は「A New Way to Reshape the Heart」より抜粋させていただいたものに修正および説明を加えたものです。